ふじたけ

トウキョウソナタのふじたけのレビュー・感想・評価

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)
4.6
これは中々。まさに映画って感じ。最近ドラマっぽい映画が結構あるけど、この映画は違う。どのショットも計算し尽くされていて映画っぽい。ストーリーは置いといて、全体の統一感がものすごかった。独特。これが黒沢清なのか。
だけど、後半の展開は強引すぎる気がしたし、3人をそれぞれ描いているから少し間延びしている感じがしてしまった。なんか偶然で物語が進んで行くんだよね。
でも、この映画は間違いなく傑作。家族の描き方がとてもうまい。登場人物にはっきりと喋らせることなく、各人物の問題を伝えて行く。ストレートじゃなくて、控えめに伝えて行く。顔のアップなんてほとんどなく、常に遠くからのショットで家族を見せられる。我々観客はある家族の様子を見せられているのだ。僕らがこの家族に近づくことはできない。
全体を見て思うのは、やっぱ偶然という必然が人生を転がして行くのかなぁ。あと、不思議なことに問題が解決しているようで、結局完全に解決していないんだよね。みんな未遂で終わってモヤモヤしているし、お互いがぶつけ合って、はい仲直りというわけでもない。そこでくるあのラストとエンドロール。文学的。
一番最後に流れる曲が予想できてしまったのは何故だろう。
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