竜平

ペイ・フォワード 可能の王国の竜平のレビュー・感想・評価

4.3
新年度、あるクラスの最初の授業にて教師が出す「とある問い」に対して一人の少年が思いつくアイデア。それが思わぬ波紋を広げていく、という話。ほっこり系ヒューマンドラマ。

この「とある問い」というのが今作の肝になるわけだけども、映画の展開的にも敢えて伏せておくとしようそうしよう。ハーレイ・ジョエル・オスメントくんが主人公を好演中の好演。しっかり者で、尚且つちょっぴりおもしろい視点を持ってる、そんな少年が思いつく至ってシンプルなアイデア。それというのは簡潔に言えば「信じることを前提とした善意」の行い。で、非常に簡単なようでそう簡単にいかないのが人間、その難しさに見ているこちらもすぐ気づくことになる。「理想」と「現実」の狭間での葛藤、少年の純粋さでその姿が更に歯痒く切ないものに映ってしまう。またこのストーリーに絡んでくるのが主人公含め登場人物それぞれの生い立ち、過去のトラウマなどの存在。家庭環境などから来る「人生はクソだ」の言葉には現実味と重みを感じざるを得ないし、そして、だからこそ変えたい「世界」というもの。夢ある子供の視点と現実との対比が素晴らしいなと。

真理を見せられてるようでもあるんだけども、例えば日々何かの悩みや失意の中にある人にとって、この問いかけというのは非常にグッとくるものになるじゃないかな。個人的にも、めちゃ響いたというところ。それぞれが悩み、またいろんなものを抱えてるわけで、その中での善意の在り方というものをきっと考えさせられるはず。とか伏せまくりのレビューごめんって感じで。先生役にケヴィン・スペイシー、母親役にはヘレン・ハント、この配役も絶妙。ちなみに監督がミミ・レダー。『ディープ・インパクト』あたりにもあるような、どことなく感じれる温かみが素敵。良作。オススメ。
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