ぬーたん

ペイ・フォワード 可能の王国のぬーたんのレビュー・感想・評価

3.3
『ペイ・フォワード』Pay It Forwardの意味は先に渡すということ。自分の受けた善意や手助けをその本人ではなく、別の3人に返す、というもの。ねずみ講的に人数は3倍ずつ増えあっという間に広がるはずだが、そう上手く行く訳はなく、でも少なくてもそのうちの誰かは誰かを助けるだろうから、決して無意味ではないと思う。さて、その波紋はどのように広がっていくのか?という期待を込めて観たが‥。
主演の少年トレバーをハーレイ・オスメント君。可愛らしい少年も今は31歳の青年。子役あるあるで飲酒運転やらマリファナやらで逮捕されるし、かなりふっくらしたが、少年時代の可愛いお目目だけは変わらない。
今作ではその悲し気な表情や感情を堪える演技が素晴らしく、さすが4歳から子役をしてるだけある。
母役はヘレン・ハント。いやー若い。かなり大胆なミニスカと胸元の開いた服、着替えるシーンの下着姿。シングルマザーの典型的なチャラママ。
トレバーの学校の先生シモネットにケヴィン・スペーシー。やっぱりケヴィンを観れるのは嬉しい。そしてこの役は珍しく真面目な教師。癖のない役だが、見かけはいきなり火傷の跡が残る顔で驚く。どんな役もやっぱり上手い。内に秘めた想いを吐露するシーンは感情を揺さぶられた。
記者役はジェイ・モア。個性的な雰囲気の俳優。ペイ・フォワードを探る役も効果的で良かった。
浮浪者役にジム・カヴィーゼル。ドラマ『パーソンズ~』のジョン・リース役でお馴染み。長身で賢そうで、浮浪者役はちょっと無理があるが。ラストに登場しなかったのが残念。
家出した父役は何と、ジョン・ボン・ジョヴィ。カッコいいね。
ペイ・フォワードを提案したトレバーの一生懸命さと上手く行かないジレンマ。何とか次に繋いでほしい。そしてまた次に。という展開を期待したが、意外にもそこは物語の中心ではなく、先生も含めた家族のアレコレが大半で、広がりは少なかった。それでも面白かったし、少年のひたむきさに心を打たれた。しかし中盤からは失速だと思う。
そして肝心のラストの怒涛の展開は正直落胆した。
これではペイ・フォワードと真逆の結論が出てしまう。
いや、そんな社会の矛盾が言いたいことなのかな。
そうだとしたら、ちょっと面倒な感じの描き方だった。
ひと言、空しい。
ケヴィン・スペーシーにはまた映画に出て欲しい。
うんと嫌な役で!
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