すぽんじ

海と毒薬のすぽんじのレビュー・感想・評価

海と毒薬(1986年製作の映画)
3.8
༄࿔༅࿔ 戦争が先か、人間の本性が先か࿔༅༅࿔༄

昭和20
タイトルとパッケージに惹かれて観たら…
ああ恐ろしい。淡々と恐ろしい。
人間は一体どこまで残酷になれるんだろう。
戦争だけが理由なのか?…きっと違う。

昔観たドラマ『JIN-仁-』から最近観た映画『白い巨塔』まで、手術シーンなんて見慣れたもん…と思ってたら大間違いだった。
モノクロでグロ緩和されているのか、
逆にモノクロだから尚一層リアルに見えるのか、もう良く分からない…(´༎ຶ۝༎ຶ)
手術の描写も今まで見たものと全然違ってて興味深いと感じたのは序も序盤だけだった。

手術シーンは皆マスクしてるけど目の演技だけで全員の感情が伝わり過ぎるぐらい伝わってくるの凄い。
臓器がリアル過ぎて目を覆いたくなるが、
もっと目を覆いたくなる惨劇が。
"手術"という呼び名は同じでも、行き着く場所が最初から決まっているとしたら…もうそれは全く違う行為。

日本がこの作品を作った事に意味があるし、
昔起きた都市伝説などでは全く無く、
今現在もこの恐ろしさは地球上で続いている…という事に鳥肌が立つ。
「コメディやったな」というセリフにもあるように、恐ろしさの渦中に居る人間がとても滑稽に描かれているのもまた至極リアル。
悪い人間の口の滑らかさはハンパない…

根岸季衣が味方キャラだととんでもなく頼もしいが、一転敵に回ったキャラだった時の面倒臭さは天下一品。
全体をひんやりと冷やす水のような、
くぐもった音色のピアノが良い。

2022/03/25GYAO無料配信