りんごチャン

海と毒薬のりんごチャンのレビュー・感想・評価

海と毒薬(1986年製作の映画)
3.8
遠藤周作の同名小説を読んでから観よう…は理想に終わった。

終戦末期九州大学医学部でアメリカ軍捕虜に対して行われた生体実験。当時の社会的状況、学内における権力闘争、そして病院という閉鎖的な空間で感覚が麻痺した人間が作り出される事が本当におぞましい。対照的な二人の若い医師の心の動きが決して熱くなく淡々と描かれている。そこがまた恐ろしい。戦争医学なんて言葉は聞こえが良すぎる。

‘86年なのに全編白黒映像が作品の重さを表していてこだわりが伺える。ピアノの調べも良い。同じく遠藤周作原作の「沈黙」は有名だけどこちらもたくさんの人に観てもらい考えて頂きたい。ちょいグロだけど…(´ཀ`

若い渡辺謙が松阪桃李に見えるなぁ