現代からは考えられない人々の生活様式にカルチャーショックの連続でした。
公開当時は、お年寄りなんかにはまだ生々しさを感じるところがあったのではないでしょうか。
徹底してリアリティを追求した今村監督はじめ制作陣の執念のようなものを感じました。
特に突然差し込まれてくるヘビのシーンは、苦手な私にとってはホラー以外の何物でもありませんでした。
地方の農村で育った私からすると、確かに家の周りなんかにたまに、あの映画のような感じで突然スルリと現れていました。
守り神として、現れたら手を合わせるようにおばあさんから教わりました。
他にも蛙や梟、鼠など、インサートされてきますが、動物も人間も同じだと訴えかけています。
そんな中でおきる人間たちのいとなみ、というと聞こえは良いですが、作品中に生と死に対する観念が一貫して流れています。
食糧が充分ではない時代、殺し殺されというのが普通とは言いませんが、各々常に死と隣り合わせに生きているのを自覚しているのでしょう。
だからこそ、自分の死を自分で決める覚悟も醸成されていくのでしょうか。
そして悲しさや後ろめたさを背負い、そこから立ち直り、日々の生活に戻っていく
残された者たち。
登場人物たちからその強さやしたたかさを、まざまざと見せつけられ、また考えさせられました。