再鑑賞。1983年カンヌ映画祭パルムドール受賞作品。信州の貧しい村では、70歳になったら口減らしのため山へ捨てられるのが村の掟。かつて北欧でお年寄りを崖から突き落とす棄老儀式アッテストゥパン(※ミッドサマー参照)があったように日本には姨捨伝説があった。
村八分で生き埋めにされる女子供や田んぼに捨てられた水子など閉鎖的な集落では人間の生々しい欲望がむき出しに。犬にまで欲情する二代目猪八戒俳優の左とん平。
兎を狩る鷹、ネズミを丸呑みしたり二匹で絡み合うヘビや後尾する蛾の映像が対比のように映し出されることによって、実は人間の醜い本質のほうが野生動物以上だということを反映している。
主演女優の坂本スミ子は48歳にして70歳の老けメイク。前歯を実際に抜いてまで老婆役を演じた女優魂には頭が下がります。倍賞美津子に色気があるのは分かるんだけど、あき竹城まで熟女の色気を引き出すなんて、今村昌平監督の手腕には脱帽です。
