又野克明

楢山節考の又野克明のレビュー・感想・評価

楢山節考(1983年製作の映画)
4.8
大昔のある貧しい村では70歳になると、役に立たなくなるからか、息子が母親(この映画ではおばあさん)を山に連れていき、捨てて帰ってくると言う。それは大昔には本当にあった風習だ。

息子がおばあさんを山に捨てるために背負って登っていくシーン。切なくなるな。両方とも、どんな心持ちだったろうか。自分の親は現在では捨てられるなんてことはあるわけがないが、やがて自分を残して死んでいくことと、小さく重ならせて考えても見た。

親は大概、息子を残して先に死ぬ。それは避けられないことだし、私も何十年か経ったら、息子はいないけど、この世をさることになる。しかし、ショげていてはダメなんだな。やっぱり、親が死んでも、生きていくぞという気持ちにならないと駄目なんだな。

そういうことを考えさせてくれる機会と、経験を持たせてくれたこの映画には感謝だ。この世の中にも、生き抜くことの大変さがまだ残っていて、親が死ぬこと、そしてその後自分も死ぬことは、まさに宿命なのだなと思ったし、そして、そう言うときこそ、自分に負けてたまるものかと思うことが大切なんだなと、この映画を見て思った。
又野克明

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