Gierck

子猫をお願いのGierckのレビュー・感想・評価

子猫をお願い(2001年製作の映画)
4.8
チョン・ジェウン監督、チェ・ヨンファン撮影。
80年代の日本や台湾の映画を思わせる青春群像劇であるが、そこには韓国社会の歪んだ社会構造も反映している。
ただ他の韓国映画と違うところは、チョン・ジェウンの視線が、何かを語ったり訴えるような視座でなく、成人になりかけた女性たちの表情や運動をとらえることに終始しているところにある。
特に表情豊かでありながら、芯が通ったような目力ある視線を周囲に送るペ・ドゥナの表情を捉えることで、周囲には馴染めない彼女の存在を浮かび上がらせている。
また、各ショットの繋ぎも秀逸で、通過したトラックによる横の運動による繋ぎや、時折、差し込まれる障害者の詩人の部屋の固定ショットが最後のみ角度を変えてぺ・ドゥナのタイプライター打つショットが差し込まれるように、繊細な映画感覚を味わうことができる。
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