垂直落下式サミング

座頭市の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

座頭市(2003年製作の映画)
4.5
盲目の座頭の身でありながら居合い抜きの達人であるヤクザもの。日本時代劇を代表するアイコン的なキャラクターを生んだ作品『座頭市』の北野武監督版リメイク。
血とかスゴい出るけど、殺陣あり、笑いあり、感動あり、ダンスあり、軍団ノリありの真っ当なエンターテイメント作品なので、思いの外家族全員で観ることが出来るし、むしろ昭和のドラマやコメディの空気感に馴染んだ年配者の方が楽しめそう。
シリアスな雰囲気が画面を支配しているところに急にトンマなことが放り込まれる時の“間”の演出が絶妙。例えば、兄貴分を斬り捨てて立ち去ろうとする座頭市をその子分たちが追撃する場面では、真ん中のヤクザものが勇んで刀を抜くと隣でボンヤリしていた仲間の腕をうっかり斬りつけてしまうところなどは北野武映画ならではのユーモアであり、思わず「そんなバカな」と突っ込みたくなるが、この独特な緊張と緩和を演出した上で、その笑いをそんなに引っ張らずにあっさりと本筋に戻るため、品のいい健全な物語として楽しむことができる。
北野映画のバイオレンスシーンは、ビートたけしがTVで言うようなホラばなしを真面目に映像化したら普通にスラップスティックなギャグとして機能することの証明をしている。やはり世界のキタノ。たまにテレビで「あのシーンは後から思い付きで付け足した」なんてことを言うけど、あれリップサービスだよ。