ぴのした

座頭市のぴのしたのレビュー・感想・評価

座頭市(2003年製作の映画)
3.7
初めて見る北野作品。ほかにもっとありそうなのに、なんでこれをチョイスしたのかは自分でもよくわからないけど面白かった。

リアリティの追求といえよりも「これぞ劇です!」感の強い独特の台詞回しや構図の決め方、クールな殺陣はやはりジャパニーズバイオレンス映画の大本流といった感じ。園子温やタランティーノに共通するカッコよさを存分に感じるものの、ただのジャパニーズバイオレンスのお手本にはとどまらない演出のうまさがあった。

特に印象的だったのは音楽。やっぱあの農民が畑を耕したり家を建てたりするシーンが音楽とマッチするところはすごいね。

家を建てるシーンのカンナとトンカチのカットとか、時折見せる短いけど豪快なカメラワークもいい意味で時代劇っぽくなくて素晴らしいね。君の名は。のスライドドアの演出とかシン・ゴジラの会議室の演出にも通じるところがありそうで非常に現代的というか日本映画の先端を行く演出を武はすでにここでやってる。しかも使い古されたテーマの時代劇で。すごい。

いやほんと実験的な要素が強くて世界観もなーんか時代劇っぽくない。そこが単なる時代劇で終わらない面白さなんだと思うんだけど。そもそも江戸時代のサムライなのに武は金髪だしなんか眼球怖いし最後はタップダンスで締めるし時代劇なのかどうかも怪しい。銀魂と同じ世界線なんじゃないか。