鬼才・北野武⑨
勝新太郎が観たらどんな感想になったろうか...。そんな銀獅子賞受賞作。
やくざの銀蔵一家に支配されている宿場町。そこへ盲目の剣客である市、仇を探す芸者の姉妹、脱藩した浪人、彼らは異なる理由で集うが...というストーリー。
目を閉じた方が相手の心を読めるが、目を開けても見えない事もある。
北野武による座頭市のリメイクは型破りのエンタメ時代劇。殺陣をここまで芸術的に描けるのは彼だけ!兎に角素早ければ斬り方にCGならではの斬新さもあり。アクションをこなせるたけし凄い。
が、しかし、いつもの北野映画を期待してはいけない。かなり娯楽性が濃いのでそこに少し違和感を感じた節が少し...ほんとにザ・エンタメ!な内容なんで芸術性の高さを求めるとマジで期待外れの一本に。それでも楽しめる映画なのは間違いない。
もしや、いつもの作家性から抜け出ようとしてるのではないのかな〜なんて思える箇所も結構見え隠れしてましたね。千葉真一から海外ウケ狙いが露骨とか言われちゃってるしな...いや面白いからこれで十分なんですけどね。
北野映画の中でも台詞量は多い方にも関わらず、説明台詞が一切無い!これ凄いポイント!普通なら台詞量が多いと必ず説明的なものになりがちですが、今作はそれが一切無し。アウトレイジでも健在だったのは、やはり今作でこれを確立出来たからってのが大きいんだろうなぁ〜...説明台詞無しなので一切退屈せずでありました。
あとタップダンスが見もの。時代劇だとあまり観ない要素なんで良くも悪くもびっくり。