lingmudayan

1900年のlingmudayanのレビュー・感想・評価

1900年(1976年製作の映画)
4.0
5時間強という長尺のため2日に分けて観たが、退屈に感じる場面は少なかった。特に第1部の奥行きのある農村風景はどこを切っても画になる美しさで、撮影監督ヴィットリオ・ストラーロの面目躍如といった印象。この映画は20世紀前半の北イタリア農村における左右の対立を描いていて、前半では小作人の間に広まる社会主義が、後半ではそれを弾圧する地主・聖職層・中間層のファシズムが伸長する。2人の主人公である小作人のオルモと地主のアルフレードはそれぞれの陣営に属し、対立を経ながらもラストまで一緒にいることが示唆される。普通に考えれば20世紀の大事件である第一次・第二次大戦が後景に配されているのは、あくまで農村における地主・小作人制度の解体が主題であるためだろう。高校時代、世界史で中間層がファシズムを受容した背景には労働階級に広まった社会主義への恐れがあったとの説明を受けたが、この映画では社会主義が農民たちを団結させ、支配層に抵抗させるイデオロギーとして強力なものとして描かれており、これを脅威とする向きがあっても無理はないなと感じた。
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