Chico

レネットとミラベル/四つの冒険のChicoのレビュー・感想・評価

5.0
レネットとミラベル。二人に起る奇妙な出来事が、田舎での出会いとパリでのルームシェアの日々を通して4つの物語で描かれる。

ふわふわした夢想家のレネットと、サバサバして地に足ついたミラベル。対称的な二人のやりとりは時に真剣な対話も挟まれるけど全体的にコントのよう。

ロメールは何を欲しているのか。フェチっているのか。隙間に入っていたいということはよくわかった。そしてそこにとても共感した。

主人公が日常の中で狐につままれたような出来事に遭遇したとして、それが奇妙な出来事であったら、そこにはだいたい何かしらの意味がある。ロメールはその瞬間にスロモで再生するように、拡大鏡でクローズアップするようにさも意味ありげに入っていく。だけどそこには寓話的な教訓もロマンティックな展開も、奇跡みたいな魔法も無い。隙間に入って遊びたかっただけだった。

例え話は苦手だけど、ふと頭に浮かんだのは、
寒い朝に、布団の暖かさを冷えた足の裏で感じながらもじもじとそこに留まっていたい子供にとって、その小さな空間が世界になるようにロメールの小宇宙にも似たような居心地の良さがある。そして暖かさと冷たさのバランスが絶妙にいい。

以下好きなセリフの引用。

夜明け前の'青の時間'を逃して悲しむレネットにミラベルが…

また明日があるわ
-明日はどこ?
よかったらここに残るけど
-ほんと?
それでいい?
-うん
泣かない?
-うん
変な子ね

若くてスマートなファブリス・ルキーニのコミカルなパフォーマンスも見どころ☆
Chico

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