すすす

タクシードライバーのすすすのネタバレレビュー・内容・結末

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

みんな理由を求めすぎてる。
理由なんてなくて、寂しいタクシードライバーが孤独な怒りが爆発しそうで狂っていって、ただただ誰かを殺したかっただけ。
44マグナムが誰かの頭にぶち込まれた時、初めて孤独が癒されるとふと思っただけ。
それが運良く、ポン引きとギャングに向いただけ。
アイリスを助けたかったとか、政治家が憎かったとか、そんなことは全くないと思う。
理由があるなら、なぜ政治家殺しのリベンジをしなかったのか。
なぜ両親や家族を嫌って家出したアイリスを出戻らせる結果になってしまったのに、それを栄光として切り抜いて意気揚々と家に飾ってるのか。
優しさもないし、恨みもない。
最後バックミラーをすごい形相で睨むトラヴィスが全て。

トラヴィスって明らかに知的でない。
ベッツィとのデートで、甘ったるいパンケーキと大量の砂糖が入ったコーヒーを飲み、ポルノ映画を見に行った。
対してベッツィはフルーツサラダとブラックコーヒー、ポルノ映画に怒って帰った。
知的とは「過剰でないこと」だと思う。
過剰に砂糖を摂って、刺激過剰なメディアに触れて、好きな女のために政治の勉強はしないけど過剰な執着をし、過剰に花を送ったと思えば、それを突き返されて職場に怒鳴り込むほどの過剰な怒りを見せる。
そんな奴が寝れないままずっとタクシーを運転して、考えごとをしたとしたら。

人生って理由なんかないし、刺激を感受できる器がなければ過剰なものを欲する。
カラオケで好きな女に聴くに耐えない「See You Again」を歌ってる奴だけが、理由のない人生を送ってるわけじゃない。
すすす

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