ガブXスカイウォーカー

タクシードライバーのガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
5.0
マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演による2度目のタッグ作。

タクシー運転手のトラヴィスはベトナム戦争帰りの元海兵隊員。重度の不眠症、趣味はポルノ映画鑑賞、そして不満と愚痴を日記に書くこと。何の目標もなく鬱屈とした日々を過ごすその姿は普遍的なものとして多くの観客の共感を得る。

彼の正義感は稀薄だ。ベッツィー(シビル・シェパード)に魅かれるも、ふられればその上司の次期大統領候補を殺そうとする(シークレット・サービスに邪魔されて失敗するが)。次に売春婦の少女(ジョディ・フォスター)を頼まれてもいないのに救おうとヒモ、用心棒、元締めなどを撃ち殺す。

僕にはトラビィスの行動は失恋したショックで溜まりに溜まっていたものが爆発したようにしか見えない。殺す相手は誰でも良かった。いや、トラヴィスは死にたかったのだ。

本作は、いつの時代にもある満たされない人の渇きや抑圧への反抗を代弁した、現在でも鑑賞に堪えうる傑作と評価したい。