Screen7

タクシードライバーのScreen7のレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.8
荒廃した街。雨降る夜。不穏なムード。
当時の社会への不満や嫌悪感が表れている作品だと思いました。
運転席からの視点で見る、雨で少しぼやけた窓の外に映る街の感じが、腐敗しているというか汚れているというか…
雨ってどうしても負のイメージを持たれがちだけど、トラヴィスは"雨のおかげで歩道のゴミが洗い流された"と捉えます。
"ゴミ"というのは社会の汚れのことだと思います。
そんな汚れた街をトラヴィスは冷めた目で見ていたのですが、ある日自分がこの街をなんとかしようと思い立って…

"孤独が俺を追いかけてくる"
不眠症に悩むトラヴィスは、タクシードライバーの仕事を始め、眠れない夜の時間潰しをします。
単調に過ぎ去っていく日々に訪れた、突然の変化。
政治家(大統領の候補者)、選挙事務所に務める女性、浮気した妻を殺そうとする男性、子供の娼婦…そこで出会う乗客たち。
彼らを運転席から見ているうちに、彼自身の心に新たな気持ちが生まれたのでしょうね。
自らの力で街を変えよう、と謎の正義感が生まれた彼は、モヒカン頭にして、体を鍛え、拳銃を買ったり、悪人たちを撃ち殺したり。
不敵な笑みをときどき浮かべる姿が、少し不気味でした…
ロバート・デ・ニーロが含みのある表情をするんですけど、本当に上手いです。

最終的に新聞で英雄と称えられるけど、"普通の"タクシードライバーではなくなった彼のことを考えると、色々考えさせられますね。
ポン引きたちと戦った後、最後に手で作った銃で自分を撃つシーンも印象的です。
こういう何気ないワンシーンが意味を持つ、深い映画だと思いました。

○月○日 〜〜ってまるで日記のようなストーリーの展開のさせ方も面白い。

サックスが奏でるジャズミュージックが何度も流れるので、暫く頭から離れなくなりました〜〜
ほぼこの曲しか流れてない気もするけど、とても素敵なメロディーです!
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