子どものころ、3つ上の兄がよく観ていた『タクシードライバー』
一緒に熱く観てて、兄が観なくなってもひとりで何度も観ていたな
子どものころの印象は、道路の溝からの蒸気に霞む黄色のタクシー。ネオンに集まる人々。アイリスのろうそくの部屋。明るい表舞台の選挙活動。トラビィスの狂気。モヒカン。
なぜだか選挙事務所のベッツィーの存在はすっかり抜けていてびっくりしたよ
トラビィスの背景にあるベトナム戦争。それが大きな影を落としていたのも、子どものころはわからなかったな
腕立て伏せしてるトラビィスの背中の傷。不眠症。病んでいるのは、トラビィスだけじゃなく、NYの街も、アメリカも。みんなもがいている。
わたしは、表層しか知らない。その頃はNYは犯罪が蔓延る街。地下鉄なんて乗っちゃダメっていわれてた。タクシーも危ないと。
親とNYに行った時、マジックミラーで外からは見えないバスでスラム街の観光をした。
ひどいよね。ひどい…
当事者の気持ちは想像力で補う?
うーん。心底わかるなんて失礼な話で。到底ムリなんだよ。
帰還兵の疎外感…。孤独…
どんな…だろう
ただ『タクシードライバー』はその時の空気に溢れている。
わからないながらも、その空気を身を浸して、トラビィスに想いを馳せることはできるのかなぁ
少しの期待を込めて、再見です。