昨年公開された『Joker』が話題になった際に、似ているような作品を紹介するというサイトで名前が挙がっていた本作。確かにこちらを鑑賞してから『Joker』を観ていたら近いものを感じていたに違いない。
何か目的や夢がある訳ではなく、友達も恋人もいない。変わらない毎日が続く。さらに、ベトナム戦争による深刻な不眠症に悩まされ、退廃したニューヨークの町に鬱屈しながら生きているトラヴィスには幸せなんてものは無かったのだろう。
そうした中で、売春で生計を立てている少女アイリスと出逢う。何かを起こしたい、この生活から脱出したいと考えていたトラヴィスにとって、その瞬間に自らが成すべきことが見えたのかもしれない。
重く苦しい音楽と目障りなほど明るいネオンの灯りがさらにトラヴィスの心情や狂気を深く描き出す。個人的に本作はあまりハマらなかったが、ジョディー・フォスターの美しさの中にある儚さには思わず目を惹かれる。