水平が少し斜めに傾いている。特別な空間を観ていることを意識させる。
少年と少女の体が入れ替わる物語は、自身の痛みを相手の痛みに見出す、いわゆる「投影」を表現しているのかもしれない。「投影」が起きているとき、自身と相手のどちらでもあり、どちらでもないような空間で息をしている。
少し傾いた世界は、この世とあの世の、どちらでもあり、どちらでもない空間なのではないか。
そういう「あわい」の空間が描かれている。
原作は『おれがあいつであいつがおれで』。体が入れ替わってドタバタする話だと記憶していたけれど、おれがあいつを思い、あいつがおれを思う話だった。そう感じたとき、大林宣彦監督からのメッセージを受け取った気がした。
実際に作品の最後に添えられた監督のメッセージとサインはあの世からの声のように感じられた。