メル

終着駅 トルストイ最後の旅のメルのレビュー・感想・評価

4.5
ロシアの文豪トルストイの最晩年の様子を最後の秘書ワレンチン(ジェームズ・マカヴォイ)の目を通して描いている。

大地主の息子として生まれ、若くして作家として成功を収めたトルストイは人生の半ばから政府のやり方に不満を持つ様になり、トルストイ主義運動というものを推し進める。

自分も農作業を行い、菜食主義で質素に暮す。
農民を苦しめている地代の受け取りを拒否したり、印税の受け取りまで拒否しようとして妻ともめたりしている。

晩年トルストイが作品の著作権や遺産を放棄してロシア国民に譲渡する、と遺言状に書こうとした事から妻との確執が決定的になっていく。

妻の言い分としては、トルストイの作品を清書してきたのは自分であり沢山の時間を自分も作品に費やしてきた。
著作権を放棄してしまったら13人の子供達はこの先どうやって暮らせば良いの〜?というもの。

トルストイも妻もお互い深く愛し合っていることは事実。
そして妻は家族を愛し、トルストイは家族以上にロシア国民を愛した。
♪♪ 男は夢に全てを賭ける 女は愛に未来求める♪♪
正にその世界です。

世界の悪妻と言われるが、ソフィーが求めたものは妻として極当たり前の事に思える。
トルストイ主義運動に夢中になり、作家活動が疎かになったので清書係りの自分は「お払い箱よ…」と寂しそうに呟くソフィーは可愛い。

ソフィーはヘレン・ミレンが、トルストイ役は「人生はビギナーズ」のクリストファー・プラマー。

ブルーの瞳のジェームズ・マカヴォイ演じる若きワレンチンが初めての恋を知り、トルストイ夫妻の深い愛情を近くで眺めながら、自身も人間として大きく成長していく様が清々しい。

ジェームズ・マカヴォイの奥様がトルストイの娘役で共演。

最後に流れるフィルムが作品を一層味わい深いものにしている。