【簡単なあらすじ】
友人を焼殺した疑惑をかけられた男は身の潔白を示すために奔走する。友人はなぜ死ななければならなかったのか。そして黒幕の正体とは。ヒッチコックのお得意の逃走活劇。
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前述の『三十九夜』と連続で見ました。
それだというのにこうも評価が変わるのは不思議というか、作品構成より個人的嗜好に目を向ける必要がある気がします。冤罪ミステリというジャンル自体被っていますし。
私はたぶん身の丈に合わない陰謀論が苦手。
とそのあたりの話はそこまでにして、この作品はヒッチコック映画でなんとなく感じていたことが顕著に表れている気がしました。つまり、
ヒッチコック、理想的な存在を映像化しがち。
いやいいんです。というかそれがいい。
『バルカン超特急』の電車密室!理想的な密室!
『サイコ』の多重人格サイコ!理想的な狂人!
そもそも各作品の主人公!理想的なマッチョ!
かくあれかしというアメリカンの理想形態を「いや〜こういうのいいよね?よくない?私はこういう王道大好きなんだけど?」とでもいうように叩きつけてくるのがハマるときはとことんハマります。今回の盲の老爺なんてとくにそう。
理想と独善は紙一重かもしれませんが、他人の理想と自分の理想が噛み合った時はたまりませんからね。そりゃあ好きな人もしこたま出るってもんです。