逃走迷路の作品情報・感想・評価

「逃走迷路」に投稿された感想・評価

ちょっと脚本が甘いような…
「自由の女神」のシーンは素晴らしい
巨大な陰謀の犯人に仕立てられた主人公。警察の手を逃れながら真相に迫るサスペンスアクション。
サスペンス映画あるあるとも言えちゃうくらい、ド定番のストーリー。

そんな映画の中に人間味のあふれる登場人物たちや、ハラハラやゾクゾクを感じさせる緊張感。そんな要素がヒッチコック作品らしい。

そしてラストでの自由の女神像でのバトルも心に残り続けること間違いなしのインパクト。色んな映画が影響を受けたのも分かります。
ヒッチコック監督にしては珍しく戦争や破壊活動などのワードが頻出するが、しかしさすがは神。あくまでもエンターテイメントとしてまとめている。ラストシーンでのフライの切実な叫びが良い
留

留の感想・評価

4.5
80年代に八重洲スター座でヒッチコック&トリュフォー二本立てに通ったが、これはなぜか見逃していてやっと見ることができた。初めて見るのでとにかく面白い。人間描写に、そんなことあるか?とも思うが映画館の暗闇ではとにかくヒッチの話術に乗せられて見入ってしまうだろう。
◎驚いたのは有名な自由の女神のラストシークエンスである。そこだけ見ると何のことはないシーンだが、先日見た『アクション映画の最高峰!』と断言した『M:i フォールアウト』のアクションより凄いのではないか?ここには心理的ハラハラドキドキが濃厚にあるのだ。
主人公、バリー・ケイン(ロバート・カミングス いいね!)は反米破壊活動家フライ(ノーマン・ロイド)のせいで塗炭の苦しみにあってきたのに、自由の女神像の松明から滑り落ちそうになるフライを助けようとする。必死でフライの手を掴もうとするのだが、やっと掴んだのはジャケットの袖。その袖が肩のところからほつれていく。フライは『助け上げられたら君が無実だと全て話す』と言うのだが、袖が切れて落下していく。長く続く絶叫と落ちて行くフライの悲痛な顔を映し続けるカメラ。なんかここ見てて泣けてしまったんです。
◎このラストまでに映画は色んな階層の人間性をサラリと描き続けてきた。
親友の母親:親友はバリーのせいで死んだと警察に言われているのに、バリーを逃す。
ヒッチハイクの運転手:バリーと2度遭遇する。2度目はバリーは手錠をはめられているのに、バリーを助ける。
偶然出会った山荘の老人:この人が特に面白い。目が見えないのだが、バリーが手錠をされていることも見通しているし、彼が正直者、善人だということもわかっている。ディーリアスをピアノで弾く作曲家。
途中で遭遇するサーカスのフリークス:小人以外はほぼ全員がバリーの味方になる。
社会の底辺にいる肉体労働者や障がい者、見世物になって生きている人たちこそが真実を見る目を持っている。
老人の姪 パット(プリシラ・レイン)もはじめは反発していたが、バリーを愛するように。
それに対するにプールや大牧場を持っているような大金持ちや上流階級の連中は常に自分の利益しか考えない。

ヒッチコックにしては珍しく政治的プロパガンダ臭もちょっと感じた。
もちろん50年代ハリウッド映画にあるような反共映画ではない。アメリカはソ連と一緒に戦っていたんだから。アメリカ内部に潜む売国勢力を描いているがここまで大がかりな動きって本当にあったのだろうか?《英国王のスピーチ》の兄はナチに協力していたようだが、アメリカの財閥にもナチ協力者がいたのか?
『戦争があった方がお前たちは楽に儲けられるからな!』とバリーが黒幕に言うシーンもある。
とても新鮮で楽しく見ることができた。
いつヒッチコック全作品、制覇できるだろうか?

*一つ思い出したこと
最後が The EndでもFinでもなくFinisだったこと。
ラテン語の finis operis には「かくて物語は終わりぬ」といった強引に決着をつける感じがあると《ヨゼフ物語》の解説で読んだ記憶がある。これもジェットコースター的展開の流れに強引に終止符をうった感じなのかな?
ヒッチコックの中でもすごく有名というわけでもないので、あまり期待せずに観たがこれは面白い。破壊活動の犯人に仕立て上げられた主人公が真犯人を追うという、ヒッチコックお得意のパターン。こういう逃走劇を作らせたら彼の右に出るものはいないだろう。ハラハラドキドキの連続で観客を一切飽きさせない。しかもほかの作品以上に状況がシリアスなので目が離せないのだ。

しかしこの映画はそれ以外の部分ではヒッチコックっぽくない。この映画は戦時中に作られたということもあり、ヒッチコックの中では珍しく戦争というものが大きく関わっているのだ。それは決してプロパガンダ的なものではなく、もっと根本的な「正しく生きるとは」という普遍的な問いを投げかけているのだ。そしてそれは常に人に優しくするということなのだ。戦争という全体主義が横行する中だからこそ、そんな中で個人が犠牲になってならない。戦争中だからこそ"国民の義務"も"愛国心"が持つ本当の意味を考える必要がある。そして、今の時代もまた同じようにその意味を考えなければならないのかもしれない。
Zorba

Zorbaの感想・評価

3.8
理由づけやらしさを軽視したかなり大胆なプロット。その分、個々のシーンのインパクトを重視。立ちこめる黒煙、火だるまになった同僚、舞い落ちる紙、光る窓、自由の女神etc...  映画的。陰影の効いたバッキバキな照明もかっこいい。

あと、座ってるボスのトビーがすげぇ遠くのソファから主人公に話しかけるシーン。捕まってる主人公が下からあおり気味でやたら威圧的に撮られてるのが印象的。明らかに立場が上なはずのトビーの方がまるでビビってるかのような撮り方。海外への高飛びを嬉々として語る姿は虚勢で、その遠因となった主人公と物理的、心理的にも距離を置きたかったということだろうか?
R

Rの感想・評価

4.4
演出がすごい…!
KUNICOOPER

KUNICOOPERの感想・評価

3.6
過去記録
オープニングからスタイリッシュでかっこいい、濡れ衣を着せられた主人公の逃亡劇。
ガソリンの入った消化器という逆説をキッカケにして主人公は、非日常へと突入していきます。そこは何も信用することができない、安定した足場のない世界かと思いきやそんなことはありません。
逃走の道中で主人公が出会う、社会のアウトサイダーたちは性善説を体現したかのような人物が多く、ノワール的な底の抜けた不安感からは程遠い展開が続きます。
それはある種の御都合主義を感じさせる展開ではあるのですが、市井の人々の善良さが終盤で悪役の主張へのカウンターとなってくるという意味で伏線としての役割を果たしているとも言えます。

上記の御都合主義や、詰め込みすぎな脚本にも関わらず流石はヒッチコックと言うか演出はキレキレです。サスペンスの作り方や場面転換の巧みさは言うにも及ばず、終盤のラジオや映画館を使った演出、自由の女神の場面などなど、映画的な面白さがこれ見よがしに詰まった楽しい映画でした。
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