Melko

ぼくらの七日間戦争のMelkoのレビュー・感想・評価

ぼくらの七日間戦争(1988年製作の映画)
3.6
「ぼくたちは自由だぞー!」
「先公が怖くて中学生やってられっか〜!!」
「勉強なんか大っ嫌いだ〜!!」

清々しいぐらいの、中学生たちの徹底的な反抗。
学校に不満、家庭に不満、社会に不満!
中学生は本当に多感で、大事な時。
世間体や自分の評判を気にして、やりたいことをやりにくくなってくる高校生と違い、まだギリギリ、自分の欲のまま好き勝手なことをできる世代。

これはただのイタズラや反抗ではない。
戦争だ。
90分という短い時間の中で、少年たちが工場に立て篭もるに至った理由や工程は詳しくは描かれない。が、鬱屈した管理体制の学校風景を見るだけで十分だ。突如として立て篭もり作戦開始、やってくる先生、親、機動隊を迎え撃つ。
唐突な展開の連続は構成的に無理があるのも否めないが、そんなことどうでもいい。
嬉々として、着替えや食料を大量に持ち込み工場に集結する少年たちが可愛い。集団での共同生活も楽しそう。
でもそこは思春期の者同士、ケンカやイザコザもある。そこがリアル。
スポーツマン、ハードボイルド、ガリ勉、食いしん坊、機械オタク、個性がバラバラながら、それぞれちゃんと良いところや見せ場があり、ワクワクする。1人もほったらかしにしない感じがいい。
女子3人は正直スパイス程度の見せ場だったが、あって然るべしとは思うほど、宮沢りえ演じる生徒会長の瑞々しさとさすがの統率力。

「ただ出ていくだけじゃつまらない、一泡吹かせてやりましょうよ。」「オウッ!!」
のような、一つの目標に向かって結束する子どもたちは無敵なのだ。

頭ごなしに怒ったり、無断で人の物取り上げたり、力任せに殴ったり、人格を否定するようなことを言うだけの先公に比べ、
「我々生徒11人は、学校の管理主義に反対し、大人たちの非行を粉砕し、わたしたち、期待されない中学生の汚名を返上することを断固、誓います!」と宣言する子どもたちの、なんと清々しく高貴なことか。
国の所有物を勝手に動かしたり、さまざまな人に迷惑をかけ親を心配させたことはダメだけど、いつかは捕まること覚悟で鉄の意思で反抗したその精神をリスペクトしたい。

「ぼくはたとえ1人になっても、ここに残る!!」と言ったガリ勉の心意気。
反発し合ってても、いつのまにか仲直りする男同士の絆。

彼らの反抗ぶりを見て、ワクワクしている教師がいた。
わたしも大人として、そのうちの1人だ。
Melko

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