カルダモン

暗殺のオペラのカルダモンのレビュー・感想・評価

暗殺のオペラ(1970年製作の映画)
4.4
夏の陽光が燦々と降り注ぐイタリアの田舎町タラ。街で英雄として称えられている父の死の謎を探るため、父と同じ名前を引き継いだアトス・マニャーニが捜査を始める。
映画は父親と息子のパートがほとんどシームレスに描かれており、また父親と息子の一人二役を演じているため、時間軸の境目がはっきりしないところも面白い(一応わかりやすいように父親は赤いスカーフ)。街の人々に「生写しのようだ」と声をかけられながら、オペラ座で暗殺された父親と関わりのあった人物が浮き彫りになり、とある真相へとたどり着く。

いいね。タラという街は架空のようだが、ぶらり途中下車したくなる。降りたら最後帰ってこれなくなりそうだけども。
タイトルバックの動物の絵が強烈で、作者はアントニオ・リガブーエという南米の画家らしいのだが、全然情報が出てこない。画集が欲しいのだが手がかりなくてムズムズする。
ヴェルヘルム・ハンマースホイの構図、ルネ・マグリットの『光の帝国』などなど、絵画オマージュと思しき場面がそこかしこに散りばめられ、フレームの切り取り方も凝っているので、見た目だけでも一見の価値アリ。衝撃的なオチも想定外だったのでかなり面白く見れた。

イタリアはスイカをよく食べると聞いたことがあったのだが、作中のスイカも美味しそう。