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河内山宗俊のnagashingのレビュー・感想・評価

河内山宗俊(1936年製作の映画)
5.0
結託する無頼の坊主と浪人もかっこよぎるが、ふたりの献身に十分な説得力をあたえる原節子が可愛すぎる。これは「永遠の処女」。『東京物語』で初めて見たとき「ババアやん!」とか思って本当にすいませんでした。身売りしたときの、立ちながら顔を伏せて嘆くねじれたポーズがジョジョ立ちっぽくて妙に忘れがたい。一見不要に思われるエピソード、錯綜した人間関係、さまざまな思惑がすべてクライマックスの立ちまわりへと結実する脚本も見事。『百萬両の壺』と『人情紙風船』を足して二で割ったような、ユーモアとペーソスが過不足なくつめこまれた傑作。花が舞うみたいに降る雪が美しかった。そして、あいかわらず謎の余韻を残す小道具のクローズアップ……。
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