手に入れた権力にしがみつく有力者や王族が別の人に奪い返されていく歴史の循環の愚かさをある時代では権力者を演じていた役者に現代パートでは浮浪者を演じさせることで強調させたり、支配する上流階級の合間に庶民がしたたかに生きる姿を描く演出で笑い飛ばす様はコミカルだけどいつものイオセリアーニ作品より辛辣な印象。そんな皮肉とアナーキーな反権力スタイルはエロ路線での鈴木則文監督の作品にも通じるものを感じて圧巻。
複数の時代をパズルのように配置しつつ、共通するワードで自然に結合してナレーションやテロップを入れずともどの時代に行ったのか自然と理解できる語り口が素晴らしくて歴史的背景を知らない観客でも抵抗なく鑑賞できる。
拷問や死などかなりどきつい描写が数多く出てくるのに特にどきつさがないというのも凄い、そしてこんな騒がしい作品なのにラストはしんみり。