ろ

淑女は何を忘れたかのろのレビュー・感想・評価

淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)
4.0

今年は日本映画120周年記念だそうですね!
京都文化博物館のフィルムシアターでは邦画の古典・名作映画特集でいろいろな映画が上映されています。3月は戦前期の作品。

ということで、初めてスクリーンで小津監督作品を観ました!
フィルム上映なのでノイズが入りまくり(笑)途中花火が上がったみたいに騒がしくて「これ大丈夫かな...?燃えへん?」とヒヤヒヤしながら鑑賞(笑)

客層も祖父母世代でしたが、母から”脳内おじい”と呼ばれている私は笑いながら楽しく観れました(笑)笑いのツボがおじいちゃんおばあちゃんと一緒なんだよなぁ~。とほほ(^_^;)


さて、あらすじ。

大学教授の小宮の家に、大阪から姪の節子が遊びに来る。
そんなある日、妻の時子に急かされ、小宮はゴルフに出かけることになったが...。

小津さんのあったか~いコメディ炸裂

もうね、面白い会話・やり取りだらけなんですよ。
まずは子どもたち。
小宮の助手 岡田さんが家庭教師をやるんですが、上手く教えきれない(笑)それで子どもたちは地球儀遊びを始める。地球儀を回して、指でピッと押さえて国名を当てるゲーム。そこに節子がやって来て、「何してるの?」って聞くんです。なかなか当たらないの?じゃあ私もやってみようかしら。節子もチャレンジ。そして...。「あ、姉ちゃんズルいぞ!!!」って子どもたちに怒られちゃう。
このやり取りだけで、もうたまらんですよ(笑)

小宮はゴルフに行くと見せかけて、気が進まず結局行かないんです。それで岡田さんのところに泊めてもらうことにする。一緒にゴルフに行く相手には行き先から家にハガキを送ってもらって、さぞゴルフに行ったかのようにするんですね。それが後で困ったことになるんですよ、ウフフ。


タイトルにある淑女って誰だろう。
何を忘れたんだろう。
この辺りを考えながら観るのも非常に楽しかったです。

私が想像するに、淑女=時子。
彼女が忘れていたのは、夫の気持ちを考えること。
夫婦が面と向かって向き合うことを忘れていたんだと思います。それを思い出させてくれるのが姪の節子。しかし、若く独身の彼女には夫婦がどういうものなのか、根本的なところは分かっていない。でも、小宮と時子が本音をぶつけ合うきっかけをくれる存在なのです。

夫の気持ちが分かった瞬間、時子は嬉しそう。
平手打ちを食らったことを誇らしげに仲良し奥様に報告するシーンはなんともほっこりします。


ああ、やっぱり小津さんはいいなぁ。
映画の余韻に浸りながら、博物館近くの錦市場をてくてく歩きました。
ろ