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ドラゴン危機一発の小のレビュー・感想・評価

ドラゴン危機一発(1971年製作の映画)
4.0
私の好きな文芸評論家、斎藤美奈子さんの著書に『趣味は読書。』というのがあるのだけれど、将来『趣味は映画鑑賞。』とか胸を張って言うためにはブルース・リーは通過儀礼でしょ、という勝手な思い込みを満たすべく、新宿ピカデリー9周年企画「ブルース・リー4夜連続上映」に参加してきました。

もうね、ブルース・リー、ヤバい。鍛え抜かれた肉体を持つアスリートで、圧倒的な風格を備えた格闘家で、アイディア抜群な稀代のエンターテイナー。作品を重ねるごとに、研ぎ澄まされていく肉体美と広がるアクションのバリエーション。リアルタイムで観たオジサンたちが今でも盛り上がるのが良くわかる(私は初めて観ました)。

1夜目は原点ともいうべき第1作『ドラゴン危機一発』日本初公開復元版英語。『007 危機一発』からもじった、内容とは無関係の邦題ににじむB級映画感。しかし、4作観た結論としては、いくらストーリーとか演出がアレでも、すべて許せる。ちなみ本作は4作の中でブルース・リーが一番コミカルな演技をしていて、そこが結構好き。

本作は<当初ジェームズ・ティエンを主役に据えた作品で、リーは準主役という位置づけであったが、リーの凄まじいインパクトに彼を主役に据える方向でシナリオが書きかえられた>(ウィキペディア)。

そのせいか前半はティエンのアクションが続き、我らがブルース・リーは、絶対に喧嘩をしない誓いを立てた設定で、なかなか魅せてくれない。しかし、ついにその誓いを破るとき…、「はやっ!」。スピード、技の切れ味が一人別次元。圧倒的な強さ、風格、この映画の王様は誰か一目瞭然の説得力。

本作はブルース・リーの代名詞ともいえる怪鳥音(「アチョー」ですね)とヌンチャクアクションは出てこない。しかし、まずこの作品を観たおかげで『ドラゴン怒りの鉄拳』におけるブルース・リーのエンターテイナーとしての凄さにいたく感動した。

本作だけしか観なかったら、ブルース・リーの凄さはイマイチわからなかったかもしれない。しかし、観ておかなければ、他の作品で今抱いているような感動はなかったかもしれない。

●物語(50%×3.5):1.75
・なんだかんだ言って、結構楽しんだかも。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・ブルスー・リーのいきなりの速さにビックリ。

●映像、音、音楽(20%×3.0):0.60
・あんまり覚えてないけど、可もなく不可もなく的な。

●お好み加点:+0.30
・ブルース・リーを堪能するなら、まずコレを観なければ。
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