アナ

初恋のアナのレビュー・感想・評価

初恋(1951年製作の映画)
3.5
「愛なければ死あるのみ
まさしく真理なり」

「人は自分でも気づかぬ内なる顔をもつ
秘められた顔が姿を現す時人生は変わる」

想いを馳せていた過去の恋人に7年ぶりに再会するも、反政府活動に加担させられる主人公。
愛とは、正義とは何か。切なくも大きなテーマを、淡々と描く。

マリアの最後の変身ぶりに驚き。
ノラ(ヘップバーン)のバレエも見所である貴重な作品。

全体的に大きな盛り上がりもなく、ずーんと展開していく。
大義のためなら無実の民であっても犠牲を厭わない。殺人も犯す。
それって本当に正義なの。父の娘として、殺人には加担できない。父を殺した人とはいえ、暗殺なんて。
そんな葛藤を抱く主人公は組織に狙われることになり、警察に保護される。「この国の警察は優しい」と冒頭のセリフにあったように、マリアを保護し偽名と整形で安全な人生を歩ませるも、最終的には反政府捕獲の囮とも解しかねない動き方をさせる。冒頭のセリフは皮肉だったのかしら。

主人公は己の正義を貫き通したが、最後まで組織にも警察にも翻弄されているなぁと思ってしまった。
そして、7年想い続けていた人は、懲りずにノラを利用しようとしていたなんて、悲しすぎる。

映画の切りどころは絶妙。これぞクラシックという終わり方、味があるなぁ。
アナ

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