Habby中野

セーラー服と機関銃のHabby中野のレビュー・感想・評価

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)
3.3
ヒドイ映画だ……。何事も思った通りに進まない。「次はこう来る!」という台詞が来ない。カットが続かない。シーンができない。こんなにもフ・かい・かんを感じる映画があるものかと思うと同時に、観てて快感を得る映画はつまり、ありがたいことに、ただそう作られているだけだと気付く。相米慎二の長回しは、演出はただ物珍しくて評価されるのではない。ロングショットは演技をごまかすためのものじゃない(いや、半分はそうだけど)。映画という非常に良く作られた日常に似た異世界に、日常の目線を思い出させてくれる。自分が観ているものが何かを知らせれくれる。無思考の快感に溺れる観客に手を差し伸べてくれる。「死の哀しさ」が恐るべきスピードで風化し、生きる喜びがほとんど不可視になるこの映画を楽しめる人は、救われた人なのだきっと。このだらしなさは日常のそれと大して変わらないものなのだから。渡瀬恒彦以外えげつない演技でも。
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