しうち

天国の日々のしうちのレビュー・感想・評価

天国の日々(1978年製作の映画)
4.5
マジックアワーを効果的に使った圧倒的映像美。脚本が薄いのも逆に良い

他のユーザーの感想・評価

のんchan

のんchanの感想・評価

3.8
テレンス・マリック監督は脳の出来が違う方という認識でいたけど、Wikiで知りました。
なんとまぁ、ハーバード大学で哲学を専攻し首席で卒業してました😮

今作はアカデミー賞撮影賞受賞🏆
撮影はフランソワ・トリュフォー監督とも何度も組んだネストール・アルメンドロス⭐️
広大な自然の風景を淡い光と徹底したリアリスティックなカメラワークで映し出している。
自然の美しさ、そして天災による怖さもしっかりと。
動物や虫の映し方がリアル過ぎて、まるで研究資料のようだった。

音楽は郷愁を誘うエンニオ・モリコーネ🎵


20世紀初頭のアメリカ中西部の農場が舞台。
農場主と収穫のために雇われた季節労働者たちの関係性を描く。

妹リンダ(リンダ・マンツ)のナレーションで進行する。
シカゴから兄ビリー(リチャード・ギア)とビリーの妹と偽った実は恋人アビー(ブルック・アダムス)の3人で農場主チャック(サム・シェパード)に雇われる。いつしかアビーに想いを寄せるチャック、そして求婚されて...
ビリーはチャックが余命1年と耳にしていたので、財産目当てでアビーに求婚を受け入れるように説得する。
そこから始まる愛憎劇が...


20代のギア様、30代前半のサム・シェパード、2人ともイケメン🩵演技力はどちらもまだ青い感じ💦
自然の風景に癒されるので救われているかな?
ラストは意外な展開になるが...

今作は映像が観れただけで良かった✨
Panaflex Camera
Lenses by Panavision
Omizu

Omizuの感想・評価

3.5
【第32回カンヌ映画祭 監督賞】
テレンス・マリック監督が『地獄の逃避行』の次に手掛けた長編二作目。カンヌ映画祭で監督賞を受賞、アカデミー賞では撮影賞、作曲賞、音響賞、衣装デザイン賞にノミネートされ、撮影賞を受賞した。

マジックアワーにのみ撮影するという今も続くマリックの美意識は炸裂しており、映像の美しさは言うまでもない。

労働者の三人と麦畑の農場主が織りなす愛憎劇、というストーリーはありながらも、やはりマリックらしく異常なほど物語的盛り上がりを嫌う。

農場主チャックとアビーはいつの間にか結婚していて、アビー側の心情はあまり描かれない。イナゴのシーンは感情の爆発というよりも、マリックが映したいのは燃え上がる火の方でしょうね。

終盤まで逃避行は続くのだが、ビルが死ぬシーンすら異常なほど淡白。

マリックは人の感情にあんまり興味がないんだろうな。自然を、世界をどう撮るかを第一に考え、人間はその背景にある装置にすぎないのだろう。

美しい映像、鮮烈な映像が次々に流れていく。そんな絵巻物をみるような感覚で鑑賞するのが正しい気がする。
Akira

Akiraの感想・評価

3.6
魅せる、聴かせる、感じさせるに特化した作品。
なぜこのタイトルになったか考え中。
2023年5月…
レンタルして見ました。
前々から見たかった作品です。
映像美は流石に美しく
リチャード・ギア若い・・
kty

ktyの感想・評価

4.0
ミレーやゴッホを彷彿とさせる農場の風景と、リチャード・ギア、ブルック・アダムス、サム・シェパードらが織り成す感情表現豊かな共演。

アメリカン・ニューシネマの名残りを思わせる余韻が味わい深い。😊
イータ

イータの感想・評価

3.3
「天国の日々」
匂いまでこちらに伝わってくるような映像
ストーリーとは少し離れた妹の視点で語られていくナレーションが良い
壮麗な自然、それとは裏腹の人間模様
70年代とは思えない映像美
自然の美しさと人間を画く
『天国の日々』(Days of Heaven)1978アメリカ

とても美しい映像で描かれた三角関係。実はアーサー王物語がベース?

1916年。シカゴの鉄工所を飛び出したビル(リチャード・ギア)は付き合っているアビー(ブルック・アダムズ)、そしてビルの妹リンダと共にテキサスの麦畑に収穫の期間労働に就く。ビルは「色々面倒がないから」という理由でアビーは妹だということにしている。

雇い主の農場主チャック(サム・シェパード・かっこいい!)が余命一年と診断されている事をたまたま知ったビルはアビーにチャックと付き合うようにそれとなく勧める。アビーに一目惚れしていたチャックとアビーは結婚するが、、、

IMDBによるとこの映画のストーリーの源泉は2つあるらしい。

一つはアレクサンドル・デュマの『三銃士』のミレディが英国伯爵をたらし込んで結婚する話。

もう一つはヘンリー・ジェイムズの『天使の翼』。貧しい新聞記者と交際している女性が金持ちに取り入るために彼氏を差し出す話。

『天国の日々』ではこの金持ちに取り入って結婚するという部分が意図的ではないような描かれ方だ。アビーはビルが自分を女性として求めてこないことがやや物足りない。

アビーが人妻になってビルの思いは強くなった感じ。ビルはチャックとアビーの寝室に忍び込みアビーを川に連れ出す。浅い川の流れの中にたちグラスでワインを飲む二人。ビルはグラスを落として見失ってしまう。川底に沈むワイングラスがまるで聖杯のようだ。

あっ!これは『アーサー王物語』のアーサーの妻グゥエネビアとランスロットの不倫も元になってるかもと思った。

『三銃士』『天使の翼』と違って二人の中をチャックから疑われたビルは農場から離れる。ここはピカレスクというより三角関係の恋愛物語になっている。

そしてイナゴが襲来して麦畑が襲われて物語はクライマックスを迎える。燃え盛る畑に地獄の使者の様に現れる蒸気トラクターの姿が恐ろしい。

エピローグは蛇足に思えた。字幕でその後の運命を説明しても良かったかもしれない。

撮影に一年、編集に2年かけてもまとまらず最後にはリンダがナレーションで話を説明する形にして公開したが興行成績は振るわなかった。監督テレンス・マリックが再び映画を撮ったのは20年後だった。

ピカレスクにも恋愛物語にもなりきれず曖昧さが残った作品でした。

撮影監督ネストール・アルメンドロスがアカデミー賞を取った自然光の撮影が素晴らしい。(アルメンドロスがトリュフォー作品のために抜けた為半分はハスケル・ウェクスラーが担当したけど)
Shaw

Shawの感想・評価

4.5
05.11.2022
05.01.2023

映像だけでなく、編集、語り、あらゆる面で70年代アメリカ史において一線を画す傑作。

よくよく考えるとなかなか陳腐で醜悪な三角関係が、子供の眼差しと当時の社会背景、抜群の映像力とのブレンドでうまく調理してある。

なんども見るうちに記憶と人生の積み重なりでどんどん感情的価値が上がっていく系作品かと思われる。
1970年代の作品にして他作品を圧倒する映像美!CGなどではなく、そこにある自然の素材の美しさをなんとも言えぬ純度の高さで映し出す。1つ1つのシーンが1枚の絵画になりそうな美しい画の連続で、アカデミー賞撮影賞受賞も大納得。

作品全体を通して言葉で多くを語らず、その徹底的な画作りによる映像で語るような作品で、今まであまり味わったことのないような独特な感覚を鑑賞中から感じる作品だった。

物語の設定は、貧乏で放浪していたカップル(と男の妹)が、季節労働者として働き始めた麦畑で働き始め、その畑のオーナーで余命宣告されている大金持ちの若者の財産を狙い、そのオーナーとカップルの女性を結婚させるというもので、その先に待ち受けるそれぞれの運命を描く。

設定も展開も、正直なところ、他作品で観たような作品なのだが、兎にも角にも冒頭で書いた圧倒的な映像美とそれが生み出す独特な空気感により、作品全体が異様に魅力的。広大な麦畑、広大な青空、夕焼け。美しい大自然を背景に映る農夫たちの影すら、そのコントラストがなんとも美しい。そして、その天国のような美しさがあるからこそ、時として地獄のように映る天災の映像もまた悍ましくも魅力的。

レビューがほぼ映像の話なかり。しかし、この映像を語らずして本作を語ることはもはや不可能。またしばらくしたら、あの映像を観たくてしょうがない日が来ることは間違いない。
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4.1

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3.9

完全にスラップスティックコメディだった。トムクルーズは現代のバスターキートン

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3.8

監督がガッツリ出演してるドキュメンタリーを初めて観たので新鮮に感じた