20世紀初頭のアメリカが舞台の「天国の日々」。監督は寡作で知られるテレンス・マリック。
主人公は日雇い労働者の若者をリチャード・ギアが演じているが本当に若い。
陳腐な表現で申し訳ないが、美しい映像が今も目に焼き付いて離れない。
太陽の光(特に夕暮れが素晴らしい)に揺らめき、静寂さに包まれた麦畑において、人間や小動物たちに焦点をあわしたワンショットがすべて絵画になっている。
すごいなぁ誰が撮影監督なんだろうと調べてみたら、ネストール・アルメンドロスとハスケル・ウェクスラーと大御所でございました。
イナゴの大群が麦畑を襲うシーンからそれに続く火災シーンの物凄さ。
渦巻く炎が唸りをたてて……という歌の文句があったけどまさにあんな感じ。よく撮ったなぁと思う。
ただそんな映像美に反して描かれる人間ドラマはかなり泥々している。
働きやすいように自分の恋人を妹と偽らせて、稲刈りの人夫として雇われたリチャード・ギアたち。
収穫期が終わり人夫たちが次々と農場をあとにする中、雇い人である若き農場主のサム・シェパードはギアの彼女に恋してしまう。
折しもシェパードが不治の病で余命幾ばくもないことを知ったギアは、自分の恋人を彼と結婚させて財産を手に入れようと画策する。
というあらすじ。
ただそういう演出だから仕方ないとしても淡々と描いているので、物語がぶつ切りのように感じてしまった。
■映画 DATA==========================
監督:テレンス・マリック
脚本:テレンス・マリック
製作:バート・シュナイダー/ハロルド・シュナイダー
音楽:エンニオ・モリコーネ
撮影:ネストール・アルメンドロス/ハスケル・ウェクスラー
公開:1978年9月13日(米)/1983年5月13日(日)