安堵霊タラコフスキー

皆殺しの天使の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

皆殺しの天使(1962年製作の映画)
4.7
ブニュエルは超現実的か不条理、もしくは人を小馬鹿にしたような作品が好きな傾向にあり、これらの性質を併せ持つ作品も見られるのだけど、これは超現実性と不条理性を兼ね備えた作品となっていた

ブルジョワが屋敷から何故か一歩も外に出られないという設定をまるで明確な理由付けもせず展開させる豪胆さ、そしてそれでいて神の見えざる手が実際に働いていそうな不条理感、理解を超えたシチュエーションに極限状態に陥るブルジョワたちの悲惨さ、羊や謎の手のような不気味なイメージ、どれも他の監督の作品では中々味わえない特異性があって生理的嫌悪感がよっぽと強くない限りそういう作品は無条件で好きになってしまう

そしてこの突拍子もない設定等にも色々と皮肉が含まれていそうで、そういう一筋縄では行かなそうな点もこの作品をはじめとしたブニュエル作品が長年愛される所以だろう

でもそうは言いつつブニュエル作品全部に目を通したわけではないから、自分の好みに合う作品もまだ眠ってるだろうし、またこれからブニュエル作品色々と見返してみよう