Omizu

チャイナタウンのOmizuのレビュー・感想・評価

チャイナタウン(1974年製作の映画)
3.9
【第47回アカデミー賞 脚本賞受賞】
ロマン・ポランスキーがてがけたフィルム・ノワール。アカデミー賞では『ゴッドファーザーPARTⅡ』と最多タイの11部門でノミネートされた。

私立探偵ギテス役のジャック・ニコルソン、依頼人の女エヴリン役のフェイ・ダナウェイの他、エヴリンの父クロス役には映画監督ジョン・ヒューストン、ギテスの鼻を切りつけるチンピラ役にはポランスキー本人が演じている。

非常に良くできたノワール。ハードボイルドな私立探偵、ファム・ファタルとフィルム・ノワールの定石を守りつつ、1930年代当時の水不足やそれに関わるスキャンダルを上手く取り込みリアリティのあるサスペンスに仕上げている。

美術や衣装はリッチで時代考証がしっかりしている。ファッションをみているだけでも楽しい。

タイトルの『チャイナタウン』も秀逸。全体からすると僅かに登場するだけだが、ギテスという人物の背景を想像させ、結末の舞台ともなる象徴的な役割を果たしている。

ジャック・ニコルソンの食えないヤツ感、そして『俺たちに明日はない』とは全く違う冷たい美しさのフェイ・ダナウェイがいい。ジョン・ヒューストンはちょいちょい俳優として出てるが、本作がベストワークでは。ノア・クロスというキャラクターがもの凄い。

終盤明かされる真実には唖然。想像もしていなかった。ノア・クロスが悪そうというのは分かっていたけどそこまで鬼畜だとは…

ポランスキーの職人芸とも言えるストーリーテリングの妙とリッチな画面作りが見事に合わさった秀作。
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