ハム

チャイナタウンのハムのレビュー・感想・評価

チャイナタウン(1974年製作の映画)
3.6
全編を通して多くを語らず、役者の表情など情景描写から読み取らせる場面が多いため頭を働かせないと内容について行くのが大変だが、成熟した大人の雰囲気を漂わせながらゆっくりと静かに進んでいく物語はバックに流れるジャズも合間ってとても心地よい。

淡々と進んでいくなか飽きずに観られるのは主人公の魅力的なキャラクターによるものが大きいだろう。ジャック・ニコルソンの作り出す独特で哀愁漂う雰囲気が渋くてかっこいい。

ラスト、権力という大きな壁に阻まれ、目の前に黒幕張本人がいるのにも関わらずなす術なしの主人公の姿は何ともやるせない。
悪者が成敗されずに終わるのは最近の作品に慣れていると物足りないしスッキリしないかも知れないが、あのラストの後味の悪さこそがチャイナタウンという街に蔓延る腐敗しきった黒い陰を象徴し、そんな中で1人抗った男のかっこよさを引き出していてよりこの作品の完成度を高めている気がした。
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