Jonayama

死霊のえじきのJonayamaのレビュー・感想・評価

死霊のえじき(1985年製作の映画)
4.7
ゾンビが世界に溢れ、地下に逃げ延びたごく少数の生者たちの行く末を描くジョージ・A・ロメロ監督が手がけたゾンビ3部作の最終章。


ゾンビモノ大好きなのに遅れに遅れてやっとこさ鑑賞。
ゾンビモノの原点といえばやっぱりロメロ大先生の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』だけど今に至る数多くのゾンビモノにもっとも影響を与えたのは間違いなく本作だろう。

変色し痛んだ皮膚、緩慢な動きと本能に突き動かされた旺盛な食欲、脳を破壊されない限り活動をやめない脅威的な生命力。
生者に群がり皮膚を裂き肉を喰いちぎるゴアシーンとゾンビに対して少数派になってもなお内輪揉めで殺し合う人間の愚かさ。
すべて1985年時点で描かれていたのだと知り驚愕!
感染直後にその部位を切断すれば助かるかも…という考えも既にこの頃からあって重ねて驚き。

2000年代以降のゾンビは感染して狂犬病のような凶暴性を発現させるタイプが増えており凄まじい運動神経を有していることが多いが個人的にはやはりオールドスクールな腐りかけでノロノロした"リビング・デッド"の方こそゾンビと感じる。『28日後』やザック・スナイダー監督の『ドーン・オブ・ザ・デッド』も大好きだけど。

当時スプラッターブームだったのか想像以上にゴア描写が強烈で本作に参加したグレゴリー・ニコテロが制作に携わるドラマ『ウォーキング・デッド』に通ずるグロさ。
HDニューマスター版を視聴したのでクッキリしたグロシーンに作り物とは知りつつも思わず顔をしかめてしまう。。

小さなコミュニティを武力で支配しようとする暴走気味な軍の隊長、現状を打破しようとしているがややマッド気味な研究者、そしてわずかな知性を残したゾンビの存在など印象的なキャラクターも多くとても見応えのある作品となっていて名作と言われる所以がよくわかった。素晴らしいゾンビ映画だ。

ただ個人的に悪い意味で80年代的な軽く、時に場面に合っていない気のするサントラがどうにもしっくりこなかった。
トータルで見れば非常に素晴らしい出来の作品なのだがそこがどうも気になってしまった…もちろん、これが好きなファンを否定するつもりは無いが。
初見なので何度か観るうちにコレじゃなきゃとなるのかも



余談だが最近は「カーッ」とか「カカカ…」みたいな乾いた鳴き声のゾンビが多くてそっちに慣れてしまっていたが85年製の本作では「あぁぁ〜…」とか「うぅうう…」みたいなうめき声主体でなんだか懐かしい気持ちになった。
初期バイオハザードシリーズもそうだけど昔のゾンビの鳴き声はこうだったなぁとしみじみ思ってしまった。自分もおじさんになったな(笑)
Jonayama

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