いしはらしんすけ

ブロードウェイ・メロディーのいしはらしんすけのレビュー・感想・評価

3.4
Wikiによると世界初の全編トーキー、MGMミュージカル第1弾となる第2回アカデミー最優秀作品賞作。

てな訳では諸々エポック要素が強い本作であるが、今となってはその革新性よりも黎明期ならではの出来上がってない緩さに、つい目がいきがちな作品か、と。

どうも「せっかくのトーキーだからミュージカルがよかろう」ってな軽いノリがそこはかとなく感じられ、ダンスをはじめとする舞台シーンのパフォーマンスは結構ムラがあるというか。まあ主題歌を筆頭に、歌方面は充実してんだけど、それも思いのほか少なかったりしてね。

筋としては田舎からブロードウェイ・ドリームを抱いて出て来たボードヴィリアン姉妹と駆け出しの作曲家兼歌手の男との三角関係を描いたバックステージもので、姉の婚約者だった男が妹と両思いになるけど、双方姉の手前、思いを秘めているうち、妹に言い寄る金持ちのプレイボーイが現れ...という何なら未だに日本とか韓国の連ドラでありそうな王道メロドラマ。

ご案内の通り、私があんま興味ない類の話なので、2時間弱の尺はミュージカルシーンの弱さもあってそこそこ長く感じたものの、いよいよ妹が金持ちプレイボーイの毒牙にかかる(ってほど悪そうに見えないんだけど)って段で、恋慕を押し殺して「妹と両思いなんでしょ!とっくに気づいてたし、あんたのことなんかずっと好きじゃない。ただの遊び。だから早く妹のところに行きなさいよ!」と男を叩き出した後、号泣する姉の姿には、ベッシー・ラヴの熱演もあって、ベタながらグッときました。

それにしても「つばさ」もそうだったけど、この頃の映画って、登場人物同士がかなり頻繁にキスをブチュブチュ、マウス・トゥ・マウスでやっていて、なんか新鮮な驚きがありますね。笑