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汚れた英雄のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

汚れた英雄(1982年製作の映画)
4.0
全日本選手権ロードレース第8戦、メインレースの国際A級500cc決勝を迎え、SUGOのサーキットは興奮のるつぼと化している。北野晶夫(草刈正雄)と大木圭史(勝野洋)の宿命の対決が始まろうとしていたのだ。晶夫が96点で1位、2位には連続チャンピオンを狙う大木、3位は若手の鹿島健がつけていた。いつものように晶夫が飛び出し、9周目にはコース・レコードを出す好調さだったがラストの直線で大木に抜かれ、一輪差で敗けた。敗因はマシーンの差、ファクトリー・チームの技術と組織の差だった。ともあれ、これで晶夫と大木が同点で、勝負は最終戦にもち込まれた。北野のプライベート・チーム〈KITANO〉は、メカニックの雨宮(林ゆたか)、かつてのライダー仲間・緒方(奥田英二)、その妻でチーム・マネージャーのあずさ(浅野温子)、その息子の和巳に支えられている。チームを維持する莫大な資金は、晶夫の美貌とセックス・テクニックによってパトロンとなっている国際的なデザイナー、斎藤京子(木の実ナナ)、財閥の令嬢・御木本菜穂子(朝加真由美)が出しているがまだ世界を狙うには金がいる。晶夫は、折りから来日した、国際的なコングロマリットのオーナーのクリスティーン・アダムス(レベッカ・ホールデン)に的をしぼった。彼女とはヨーロッパで知り合っていたが、パーティで再会、晶夫の誘惑に何なく陥落する。恋のライディングは着々と成果を上げたが、肝腎のマシーンの性能アップは思うように進んでいなかった。メカの雨宮は女の事で作業をスッポカした。その為、晶夫は雨宮を解雇、自ら徹夜でマシーンに取り組んだ。いよいよ決勝の時が来た。全日本選手権最終戦、国際A級500cc決勝レース。晶夫、大木、鹿島らが一斉に飛びだした。38周目、魔のヘアピンにさしかかる晶夫。ついに勝利の女神は晶夫に微笑んだ。
大藪春彦の同名小説を角川春樹自ら映画化。
原作小説は長編なので、あくまでも北野晶夫のメーカーに縛られず記録もレースの勝利も手に入れるためプライベートチームにこだわる孤高な生き方、そんな晶夫にロマンを感じ援助する女たちの愛、バイクにつけたカメラの映像などを生かした日本映画になかった臨場感と迫力とスピード感に溢れたレースシーンにこだわり映像化した。大藪春彦特有のピカレスクロマンは足りないけど、草刈正雄が演じる北野晶夫の華麗でストイックな存在感は、カッコいい。レース映画の傑作。
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