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大菩薩峠のKuutaのレビュー・感想・評価

大菩薩峠(1957年製作の映画)
3.5
何本もリメイクされているようだが完全に初見。なんとなく内田吐夢版をチョイス(3部作とも知らずに)。他のバージョンも見た上で点を上下させる予定。

・オープニングが一番びっくりした。マジで「峠の向こう側」の人が主人公なんだなと。こっちの心の準備ができていない中、引きのショットで淡々と歩き去る机竜之助(片岡千恵蔵)に唖然。

・女にしがみつかれながら闇討ちに遭うシーン。その場を動けない状態で敵を斬り伏せる。文字通り女が「足枷」になっている彼の心境がアクションとして描かれている(他のバージョンでもあるのかな?、というかこのシーンの批評をどこかの本で読んだ気がする…)。

・原作が長いせいか、全体にダイジェスト感が強く、シーンが細切れに連なっている印象。話にあまりついていけなかった。

・人斬りの背景に個人の意志がない。竜之助自身、何のために斬るのかよく考えないまま、斬りたいから斬っている。神社での演舞、引き分けとした判断に抗議する竜之介に、審判は「意思は禁物」と返す場面が象徴的だと思う。

→竜之助は内面が空っぽな怪物。微妙に安っぽいセットなど、リアリティラインが低い感じも相まって、終盤の狂気の世界はかなり誇張されたファンタジーに見えた。
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