カテリーナ

過去のない男のカテリーナのレビュー・感想・評価

過去のない男(2002年製作の映画)
4.6
前から気になっていた作品
アキ・カウリスマキは
『ル・アーブルの靴磨き』に続き
2本目
彼を知ったのは漫画家の吉野朔実氏の『シネコン111』というシネガイドに載ってたのがそもそもそものキッカケ 最初はその変な名前を目にしただけで鑑賞するとは思ってなかった 沢山の映画を見ている内に彼の作品が磁石のようにこちらに吸い寄せられてきた
それでも北欧の寒い国の映画
どこに面白味があるの?
と、中々手を出さなかった

今作はフォロワーさん(matsuko嬢)のレビューが素晴らしく
彼女からのお勧めもあり、やっとTSUTAYAでレンタルの運びとなった
『ル・アーブルの靴磨き』同様
北野武の映画に似てる
固定カメラで淡々と人物の会話を
映す 台詞で説明するより行動で
お話を進めて行く
登場人物は皆冷静で必要以上に取り乱さない
映画全体の色が寒々しい
などなど

勿論北野監督の持ち味のバイオレンス描写は別格だ
カウリスマキ監督作品には今のところ目を覆うほどの暴力はあまり見られない

何故かノスタルジーを感じる
北欧映画なのに昭和の人情劇場を見てるみたい
とても暖かくて慈愛に満ちてる
安心して見ていられる日本のホームドラマ

反面、人生の厳しさや皮肉も
たっぷりと思い知らされる
人生の岐路に立たされた時こそ
その人の本性が現れる
貧しくても心を豊かに生きて行けば道は開かれる
だからどん底まで落とされても
ヤケになっては行けない
主人公が記憶を無くしてしまうほど暴漢に殴られて瀕死の状態になり医師に見放されても
何もかも無くして住む場所さえなく路頭に迷っても手を差し伸べてくれる人がいる
救世軍で食事の配給をしている女性
生きて行く為に最低限必要な物だけを与えるでも、甘えたことを言うと引っ叩かれそうな凜とした女性 その出会いが彼を変えて行くのだ 主人公やこの女性
あるいはその周りの人々はきちんと自分に責任を持って筋を通して生きている それはやがて小さな幸せへ繋がっているのだ

人生の指針を示したり
困った人同士で助け合う大切さ
その中でも馴れ合いにならない厳しさなど沢山の事を教えてくれる
映画なのである
好きだな、カウリスマキ監督♡