記憶喪失というあまりにストレートで使い古された設定だが、アキ監督の「少ないセリフ」や「無表情」といった演出が冴えている。
どうしようもなくみんな貧乏で、ギリギリの生活を描いているのだが、温かさを感じることができる作品。
それにしても「ハワイの夜」は強烈な印象を残す。
カンヌで女優賞を取るだけのことはあり、カティのぶっきらぼうな演技や、その年で初恋っていう初々しさが光り見どころ。
後半は二人のロマンスがメインとなっていくのだが、ぜいたくを言うともうひとひねりほしかったところ。悪徳警官が魅力的なキャラクター。全く獰猛に見えないハンニバルともっと活躍してほしかった。
ご都合主義も目立つが、ツッコミを入れずに素直に流されて観ると楽しめる作品だろう。