福福吉吉

レオン 完全版の福福吉吉のレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
4.5
◆あらすじ◆
12歳の少女のマチルダは外出から帰宅すると家族が惨殺されており、その残党が自宅を見張っていたため、隣室の男に助けを求めて招き入れられる。その男、レオンは凄腕の殺し屋であることをマチルダは知り、弟の仇を打つためにレオンに殺しの技術を教えて欲しいと乞う。戸惑うレオンだったが、マチルダの熱意に負けて教え始める。共同生活を始めた2人は心を通わせていくが...。

◆感想◆
若い頃に通常版を観ましたが、あまり覚えていないため、完全版との違いは分かりませんでした。ほぼ初見の感想として読んでいただければと思います。

家族を殺された少女が孤独な殺し屋の男とともに暮らしていく中で絆を紡いでいくストーリーとなっており、幼い少女ながらしっかりと自分を主張して、それに押されながら彼女を守ろうとする殺し屋の男の奇妙な関係が「殺人」という凶暴な繋がりにもかかわらず、どこか微笑ましく感じる作品となっていました。

マチルダ(ナタリー・ポートマン)は父や姉から暴行を受け、義母からはネグレクトを受けており、家庭の中で居場所がありませんでした。父が麻薬の運び屋をやっていたことから家族全員が麻薬組織を牛耳る悪徳刑事のスタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)に殺されてしまい、レオンに助けを求めたことで2人の関係が始まります。彼女は大人びており、タバコを吸うなど素行の悪さが目につきますが、レオンとの共同生活が始まっていくと、とても子供らしい部分が見えてきて、愛らしく感じました。

レオン(ジャン・レノ)は孤独に暮らす殺し屋だったのですが、マチルダを助けたことにより共同生活を送ることになります。レオンは通常時はかなり優しく人の善さを感じさせる人物であり、マチルダとのやりとりはコントに近いものを感じました。しかし、殺し屋としてのレオンは当然ながら非情であり、その凄みをしっかり表れていたと思います。

本作の肝はマチルダとレオンの関係性に尽きるのですが、マチルダが必死に背伸びしてレオンと対等であろうとしているように思いました。そこには恋愛や家族などの心情の入り混じったものがマチルダがあったように思います。一方、レオンはマチルダに恋愛感情は無かったと思いますが、それまでの孤独を埋めてくれたマチルダを大事にしたい思いがあって、それが細部にわたるまで描かれていて、心に響きました。

本作の敵役のスタンスフィールドはかなり狂気に満ちていて、へらへら笑いながら人を殺す怖さがありました。麻薬捜査官でありながら麻薬組織の元締めという凶悪さがゲイリー・オールドマンの演技から満ちていて、とても面白かったです。

とても素晴らしい作品でした。今回観直して良かったと思います。

鑑賞日:2024年9月30日
鑑賞方法:CS WOWOWプラス
(録画日:2023年11月30日)
福福吉吉

福福吉吉