yukihiro084

レオン 完全版のyukihiro084のレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
5.0
言ってしまえば、映画は観るのでは
なく、出逢うものかもしれない。
それが予期していない出逢いなら、
それはもう、忘れられないものになる。

ナタリー・ポートマン。当時13歳か。
オーディションで2000人以上の
候補者から選ばれたナタリー。
本当に本当によくちゃんとナタリー・
ポートマンを選んだと思う。監督本人か
キャスティングディレクターか、
オーディションを受けなさいと言った
エージェントなのか、とにかく
素晴らしい仕事をしたと思う。
このマチルダというキャラクターを
演じる女優の人選をもし間違えていたら、
この作品がここまで愛されることは
なかったと思う。ちゃんと少女で、
ちゃんと大人の女で、ちゃんと孤独で、
ちゃんと社交的で、底辺感と気高さを
併せ持つようは、このマチルダを
演じることを、キャラクターとして成立
させることも、難しいのでないか。

僕らは90年半ばに、この作品に出会う。
マチルダという少女に出会う。
予期していなかった出会いだった。
不意打ちと言っていい。少なくとも僕は
魅了された。ぶっ飛んだと言っていい。

今作はジャケットの印象ほど実は
ハードボイルドな作品ではない。
殺しのシーンも確かに多いが、
それ以上にレオンとマチルダの
2人のシーンが多い。
肩を寄せ合うようなテーブルの
ミルクや訓練のシーン。
凸凹のシルエットが印象的な
歩くシーン。ほぼ全編、レオンと
マチルダの2人だけのシーンなのだ。
孤独で、つらくて、帰る場所も、
飛び込む温もりも知らない2人。
庇護者のように振る舞うレオンと、
母のように、恋人のようにレオンを
包み込むマチルダ。

意外なほど笑えるシーンが多い。
そして、こちらがハッと
するほどラブストーリーでもある。

そこに立ち塞がるのが、
演技とは思えない禍々しさを
目つきやら姿勢やら喋り方から
もう全体で発散しているゲイリーだ。
この俳優が将来、英国首相を
演じるなんて想像出来ないよね。
当時のゲイリーは、どんな役作りを
していたんだろ?どんな感じで
現場に入っていたんだろ?
どこからスタンのキャラクターに
切り替えてるんだろう?
とにかく僕らは、映画史に残るこの
クソ野郎キャラクターに出会って
しまった。

光を浴びる植木鉢。
足元だけ映した愛らしいカット。
プリーズと泣きじゃくるマチルダ。
その顔を照らす希望のような光。

どのシーンも心から離れない。
強く強く、離れることはない。

当時、映画館で。

映画って面白い。
映画って果てがない。
これだけの数、レビューを
書いているのに、まだまだ
語るべきレビューと、気持ちと、
言葉が残されているなんて。