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レオン 完全版のkyonのレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
5.0
やっと…観ました…これは…もっと早く観るべきだった…
ラストにかけてボロ泣きだったんですが…笑(レオンが自分の過去を吐露するあたりから)


レオンとマチルダ、その関係の不安定さが物語のトーンを作ってる。

『タクシードライバー』やボニー&クライドものの延長戦にもいそうな作品だけど、それでもレオンのキャラクターの魅力が!!
マチルダもだし、これは納得。

レオンの殺し屋なのに情に厚い、みたいな人間の持つ矛盾しているような二面性が観客に共感をもたらす余白を作ってる。

ほんと画面のカットもイカしてるし、マチルダの美しさにもびっくり。


衣装もほんっと良いなぁ。
90年代のストリートな雰囲気ありつつ、『俺たちに明日はない』みたいなある種洗練された(カスタマイズの方が良いかな)装いで任務(殺し)を遂行する流れはどうしてこんなに惹きつけられるのか。007シリーズもそうだし、スパイや殺し屋といった内の世界、表には現れない世界のはずが装いによって外界に視覚的に引きずり出されるところが視覚体験としては面白いのかな。マチルダがゲームの中でマドンナやモンローやチャップリンに扮してるのも特徴的だった。パッと見て誰だかわかるんだから、ファッションの記号って面白い。



毒には毒を、みたいな部分も観客にとって単なるおとぎ話みたいな世界よりもリアルなのかな。
映画ってさ、つかの間の時間、倫理観や価値観を取っ払われる瞬間あるよね、それってやっぱり一種の解放だと思う。

自分の紐付けられてるアイデンティティとかルーツとか、日常まわりのこととか、映画を観ている間は、特にその物語が観客の視覚で持続している間は誰もが匿名性を持って映画と一体化する。


殺し屋のレオンにすごく惹かれている中でそう思うと、やっぱり彼をいいなと思ったのは映画館でジーン・ケリーのミュージカル映画を観て笑っていた瞬間。

あの瞬間が、レオンが笑う瞬間が毎度毎度たまらなく幸せな気持ちになる。


レオンの背後に漂う孤独と孤独になってしまったマチルダ。
身寄りのない2人が寄り添って、殺し方をレクチャーしたり、ゲームをしたり、冗談を言い合ったり、クレイジーな状態に逆に笑っちゃうんだけど、ラストからボロ泣きという喜劇と悲劇が混ざり合った作品。だから強い印象に。


大好きな作品に追加です。
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