Koichiro

レオン 完全版のKoichiroのネタバレレビュー・内容・結末

レオン 完全版(1994年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

心が動いた映画だから、長く書こう。
レオンが殺し屋になった経緯を聴いて、胸を打たれた。愛した女性と相愛であったにもかかわらず、女性の父の怒りにふれ、最愛の人を失った苦痛。その男が、初めてレオンが殺した相手だったという。憎悪から人を殺めたレオンが、仕事として殺しを受け入れている生活が、切なく思えた。
麻薬中毒の警官・スタンに射殺されながら、最後は手榴弾でスタンを爆死させるレオン。これはレオンにとっては仕事だったのかな?仕事+使命、みたいなところあるよな。死んでも成し遂げる仕事への覚悟が固まっていたから、頭部を撃たれて死を確信した瞬間に、自分の命の使い方が決まったんだろうな。「マチルダからだ」の捨て台詞が最高にかっこよかった。

マチルダについても書こう。継母を迎えて、大嫌いな家族と一緒に崩壊した貧しい生活をしていたマチルダ。「大人になっても辛いの?」とレオンに尋ねたシーンから、ずっと健気だった。殺された弟の倒れた白線を見て立ちすくむ姿に、いたたまれなくなった。
一番感動したのは、レオンが最後まで、マチルダに直接の人殺しをさせなかったこと。命を賭しても、「自分のような人殺しになって、壊れた心で生きていく少女にさせるわけにはいかない」というレオンの志があったんじゃないかな。「女と子どもは殺さない」という、暴力という手段に乏しい人々を、その苦痛から引き離しておく意志を、最後まで全うしたように思えた。マチルダは学校に戻るけれど、自分の境遇を教師に説明し、レオンの形見の植物を葬るように植えた。自分を語る言葉を失わず、レオンへの愛を胸にリスタートを図るマチルダを、心から応援したくなった。
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