大根山のたぬき

レオン 完全版の大根山のたぬきのレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
5.0
※ 再投稿

愛を知らない殺し屋と愛を失くした少女との凶暴な純愛を描いたリュック・ベッソン監督の最高傑作

家族を惨殺された12歳の少女マチルダは、隣の部屋に住む殺し屋レオンに助けを求める。戸惑いながらもマチルダに救いの手を差し出すレオン。そこから二人の奇妙な共同生活が始まった。弟の仇を討ちたいというマチルダにしかたなく殺しのテクニックを教えるレオンと、読み書きもできないレオンに文字を教えるマチルダ。やがて二人の間には父娘とも恋人ともつかない愛情が芽生えていくが…。

この映画でナタリー・ポートマンが一躍有名になった。当時の演技を見ても、子役とは思えないくらいの色気や表現力があり、圧倒されてしまう。また、悪徳刑事の役を演じていたゲイリー・オールドマンの怪演もすごい。出演しているシーンは少ないが、そんなことは気にならないくらいに映画の中で強い存在感を放っている。

映画の構成も最近ではよく見る、大人×子どもの組み合わせだが、この映画はその組み合わせの映画の中でも、最も素晴らしい映画だと思う。この映画を見て『ただのロリコン映画』だと思う人はこの映画を見るべきじゃない。(監督はロリコンかもしれないが笑笑)この映画は、レオンとマチルダの年の差はあれど、男女の少し異常な純愛を描いていて、その後に起こる展開やストーリーが本当に素晴らしく、2人の恋物語にどんどん魅了されていく。そして最後に待つとても悲しく切ない結末に繋がっていく。

今のいろいろと細かいことにうるさい世の中では、中年の殺し屋と幼い少女との恋を描いたこの映画が仮に今、公開されたとしても、炎上したりめんどくさいことになるだろう。人種差別の問題や人権問題が大きく映画業界に関わるようになった今、自由に映画を作ることができなくなってきているような気がする。決してそれが悪いことではないのだが、これから先の映画の描き方が大きく変わってしまうのではないかと思っている。最近のテレビで放送されてる映画は数年前に公開されたものや、簡単に言えば『ファミリー向け』と呼ばれる血も一つも吹き飛ばないような、誰でも見られる優しい映画ばかりだ。昔の映画なんて最近はこれっぽっちも流したりしない。逆に今の子どもたちは、昔の名作映画の数々を見ずに、なんのインスピレーションも受けずに育っていくのかと思うと恐ろしい気持ちになってくる。自分と同じ年の友達にも『E.T.』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『エイリアン』や『ターミネーター』ですら見たことがない人がいて、正直ドン引きしてしまった。理由を聞けば、『興味がないから』だ。そのような名作と呼ばれる映画たちを見る習慣がなくなってきたのである。今、逆にそれらの映画をテレビで放送しても、くそしょーもないクレームや独断と偏見が飛び交うだろう。退屈な世の中になったもんだ。もっと楽な気持ちで見ればいいのに。いつから映画は自分の意見を押し付けるものになってしまったんだろうか。最近、アンパンマンですら暴力的で危険なのではないか、と思われているニュースを見た時にはとても呆れすぎて怒りすら湧かなかった。

話は大きくそれてしまったが、この大傑作『レオン』はこれから先、テレビでも流れることはなく、よっぽどの映画好きじゃないと見ないようになっていくだろう。非常にもったいない。

あと、できれば完全版で見てほしい。完全版で見れば、より2人の関係に感情移入しやすくなって、映画の良さがますます増すだろう。この完全版も元々は公開するはずだったバージョンであったが、試写会で『ロリコン』だの『不適切』だの文句を言われて現在の通常バージョンに監督が編集し直した。だからこれが本当の『レオン』であり、通常バージョンはそんな映画の自由を奪われた偽りの映画であるから見る価値もない。

絶対に完全版で見ることをオススメする。
いや完全版しか見るな笑笑



「マチルダ、君は俺に生きる喜びを与えてくれた。幸せになるんだ。ベッドで寝て、大地に根を張って暮らしたい。決して君を独りにはさせない」

「大人になっても、人生はつらい? 」

「親友なんだ。無口なのがいい。根っこのないところがオレに似ている」

「私が欲しいのは愛か死よ」

「もし私が勝ったら、あなたは一生私のそばにいるのよ」

「俺は逆だ。年は取ったが、大人にならないといけない」

「これは・・・マチルダからだ」
「クソ」