壊滅状態となったゴーストタウンのロンドンを主人公が呆然と闊歩する殺風景な序盤から作品の危険な世界観に惹かれた。また前半が感染者VS生存者で後半が人間の醜い本質を浮き彫りに構図を描いている。特に要塞化した館でゾンビ以上の人間の確執や傲慢さを描いている点は盛り上がる要素を順当にまぶしていてうまい。
本作は秀才ダニー・ボイル監督がお得意とする抜けが効いた軽快な作風とアンデッドが街に蔓延るバイオレントな過激さも相まってか絶妙な化学反応が起きている。感染の定義で生存者が液体を浴びれば即感染する設定やほぼ全速で駆け抜けるゾンビの身体能力の高さなど妥協抜きで作品を築き上げた手腕は秀逸であった。
