このレビューはネタバレを含みます
起きたら全裸で病院のベッドで1人。空白の28日間にあったことはほぼ説明されず。(せっかく拾った新聞、もう少しちゃんと読もうねw)
キヨスクに登ると助かるとw
良い意味で飛ばしすぎ。中毒性のあるスピード感…
でもそれは印象的なカットとか不穏な空気、適切な音楽と敢えての不自然感による効果的な起伏の賜物です。
ダニーボイル監督は間違いなく天才です。
この表現力があれば、どれだけ急ピッチでストーリーが進んでも個人的には置いてかれませんね。
このウイルスは「凶暴性(Rage)」と呼ばれていて、比喩的に人間の性質自体を現してると考えることもできます。
人間なら誰でも発症しうる病気で、それこそ10秒20秒という単位で簡単に人から人へ伝播します。
その感染の"答え"があるという放送に導かれて辿り着いた理想郷は凶暴性に溢れているという矛盾…
「人間はいつだって殺しあう生き物だ」という言説を身を呈して立証してしまう少佐。
野生を暴力によって管理する世界。
人間性を取り戻そうとして、でもそれ故に過度な野生が暴れ出してる社会、そこに棲みつく狂気〜崩壊を描く、というのが過去におれが観てきたダニーボイル監督の作品の特徴です。
ユートピアはディストピア。そうして常に何かから逃げてますw
着の身着のままの素晴らしい逃げっぷりには毎回Iggy Popの"Lust For Life"をかけるに値します。
セリーナとのキスを豪快に邪魔されて、「ラリってるのかハンナ⁉︎」で笑った。
的中させてしまうジム。勘が良すぎる。
「噛み付いてるのかと思った」何も言い返せなくなるハンナの模範回答も見事ですw
セリーナを救う時のジム、あれはどう見ても「感染者」です。目を見たら分かるw
「凶暴性」という病気への耐性は、銃で撃ち殺したり鎖に繋いで放置することではなく、鎖を解き放ち自らに取り込むこと。
飲み込んで凌駕してしまうのです。
でもその病気は愛の為に使われなきゃいけない…ゾンビ映画の憎すぎる帰結ですねw
そして戻ってくる。戻ってくると更に「生きる」感覚が強くなっていくのです。
逃げるとは生きること。
抱えているものをいろいろ手放して、限界まで捨て切って、命からがら逃げてきてやっと湧き上がるLust for Lifeに気付く。
そんな経験をダニーボイル監督はいつも描いているのだと感じてます。
In the house - in the heartbeat By John Murphy
Season song by Blue States