さとうの人

おしゃれキャットのさとうの人のレビュー・感想・評価

おしゃれキャット(1970年製作の映画)
3.9
誘拐され捨てられた猫一家による冒険帰宅の話

小学生の頃に観てたので、雰囲気に懐かしさがあった。
大人になった今、よく見ると引っかかったところや、良さを感じるところがちらほら。

鉛筆でさささと描かれる作画。近代パリのスマートさにとても合う。
猫たちの飼い主など主に人間に線を多く使っており、下書きもそのまんまになっている。そんな所も許容してしまうおしゃれさ。
カラフル過ぎず上品な彩りを見せる色合い。しかしジャズのシーンで一変、ジャズで踊る猫たち自体が鮮やかに派手に色が変わる。そこの落差が良き良き。

小学生の頃はスルーしてしまったが、なぜ母猫ダッチェスは子持ちのシングルマザーなのか。
ダッチェスを出さずとも、子猫だけが誘拐されて野良の子猫やオス猫に助けられる筋書きでもストーリーは成り立つ。
なぜ大人の恋愛要素を入れたのか。それはウケ狙いだったのか、それが謎。

普段のディズニー映画だと『シンデレラ』の舞踏会など、男女がふたりきりで愛を育むシーンでは必ず男女のデュエットが入っている。
しかし、ダッチェスとオスの野良猫オマリーのシーンではデュエットが入っていない。静かな語り合いが妖艶な大人の雰囲気を出している。
子猫が出ないシーンだからこそ、慎重に大人だけの世界観を組み立てなければいけないのかもしれない。それが狙いならば見事に表現できている。

共に観ていた小学校低学年のいとことは、酒飲みがネズミが猫を追う場面を見て、飲んでいた酒を捨てるシーンなど、所々に散らばるジョークに対して?マークを浮かべていた。
小さい子には少し難しいのだろうか。
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